活字のケース棚・馬について
活字のケース棚が通称「馬」と呼ばれていた理由を特に深く考えた事は無かったが、ひょんな事から横からの見た目が四本足で馬の背の様である事が由来だと解り、そう知って眺めてみると確かにそう見えてきた。
ケース棚には障子が何枚も重なったような「引き戸式ケース棚」と鉄製の棚「馬」があり、所有する活字の数や、スペースの問題、文撰職人の人数で各社使い分けをしていたようだ。
当社所有の「印刷出版研究所・最新印刷便覧 昭和37年発行」には活字ケース棚の広告が掲載されている。《同書・昭和40年発行には活字ケース棚の広告は無くなり製版用機械やオフセット印刷機の広告が幅をきかせている》
(株)印刷時報社・技能検定受験のための活版製版講座・昭和37年発行にすだれ用ケース棚「馬」の一例としてサイズが記載されています。【すだれケース4段20枚】
活字を納めておく木箱の事を「すだれケース」「南京ケース」と呼び大きさ形に違いがある。
すだれケースにどの活字(特によく使う漢字)を入れておくかは各社の仕事内容によって違いがあり、また馬へのケース配置も大きく関西式・関東式・二人立ちなどの変化がり、いろは順に並べられたひらがなも横書き文字が右から書かれていた時代と左から書かれる時代で次第に変化が出てきたようだ。昔は「親方」と呼ばれる文撰職人を筆頭に数人の職人が各社の繁忙期に合わせ、要請次第で出張文撰を行う事もあった。